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児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

ちっちゃな科学

 

 虫オタクから生物学者になった福岡氏と、長く子どものかがくよみものに関する仕事をしていた二人の対談や、二人への質問も交えた著作。弔意的なのは、かこ氏の柔軟性。本が商品であること、不況の現在、即効性のある問題集はかっても科学読み物にお金がだされなくなっていることなど、ホント身に染みる指摘。インゲンマメをかんがえるのに、日本への最大の輸出国と、なぜそこでインゲンマメがとれ、どうして日本に輸出されるようになったかを展開していくようすには、思わずうなってしまう。好奇心と探究心を持ち続ける著者の姿が魅力。

ファンタジーを書く

 

ファンタジーを書く: ダイアナ・ウィン・ジョーンズの回想 (徳間書店の子どもの本)

ファンタジーを書く: ダイアナ・ウィン・ジョーンズの回想 (徳間書店の子どもの本)

 

 作者による自分の創作の解説やアプローチ。ユーモラスな口調で、認知されていないファンタジーの執筆をどのようにはじめていったかが明かされる。『指輪物語』の評論もとても面白く、思わず読み直したくなるほど。ちなみに、これを読んだ後、ウィン・ジョーンズ版の夢を見ました。影響力が絶大。

みんなを守るいのちの授業 おおつなみと釜石の子どもたち 

 

みんなを守るいのちの授業―大つなみと釜石の子どもたち ( )

みんなを守るいのちの授業―大つなみと釜石の子どもたち ( )

 

釜石の奇跡ともよばれた、釜石の小中学生の的確な避難行動。それは、奇跡ではなく繰り返しの訓練と教育の成果だった。学校で地震にあった鵜住居小学校の子どもたち、放課後に地震にあったが自分の判断で逃げた釜石小学校の子どもたち。彼らの行動を紹介しながら、津波の時に、どのような行動が必要かを紹介する。自分の街の防災マップの作り方など資料もついていて実用的。 3.11に改めて注目して、命を守りたい。


もぐらのあなの大そうじ

 

もぐらのあなの大そうじ―ちゅーちゅーおそうじがいしゃ〈1〉 (児童図書館・文学の部屋)

もぐらのあなの大そうじ―ちゅーちゅーおそうじがいしゃ〈1〉 (児童図書館・文学の部屋)

  • 作者: ビビアンフレンチ,アンナカーリー,Vivian French,Anna Currey,おかだよしえ
  • 出版社/メーカー: 評論社
  • 発売日: 2000/08
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る
 

 「ちゅーちゅーおそうじがいしゃ」は、おねえさんのニナ、おとうとのフレッド、いもうとのシーナでやっています。明日はフレッドの誕生日だというので、準備していたニナとシーナ。ところが当日は早朝からモグラがお誕生会をするのに家がきたないと、泣きながら助けをもとめに来ました。3匹はせっせときれいにおそうじしてあげますが、途中で、げじげじやなめくじなど虫が出てきて大騒ぎ、部屋も汚れてしまいます。実はこれ、もぐらの誕生日のごちそうだったのです。もぐらはますます泣いてしまうし、ニナとシーナは虫を怖がりさあたいへん。でもね、気がいいフレッドが誕生日のケーキを半分分けてあげたので、もぐらもニッコリ。たあいのない話で、冒頭に3匹がお掃除会社をしている説明がないのが気になるが、気楽によめる幼年物語で、貸出も多い。

お~い、雲よ

 

お~い、雲よ

お~い、雲よ

 

 空の写真、と思っていたら背景に震災があった。写真は美しく抽象的だが、文章はやや抽象的にも感じる。また「子どものいる風景。 心があたたかくなる。」という文章などをみていると、大人の視線? 子どもが共感を持って見るというより、大人が子どもたちを見つめる写真集とおもいました。

あまいみずからいみず

 

 温度をあげることで、砂糖や塩を、より多く溶かすことができることを説明。海の水が辛いわけを、地球の生成期が熱く、はげしく海がかきまぜられていたことに結びつけていく。説得力はあるが、溶解から地球の生成のドラマまで広がるまえに、もう少し溶解について説明してもと思った。

うそつきの天才

 

うそつきの天才 (ショート・ストーリーズ)

うそつきの天才 (ショート・ストーリーズ)

 

 テストの落第点を親に見せたくなくて、親のサインを偽造している現場を先生に見られたウルフ。怖くて家に帰れなくなり、家出を決意してしまう。不安でたまらないのに、次々に気楽なウソが口から飛び出してしまう。それでいて、そんな自分をもう一人の自分が記録する「ウソつきの天才」。作文の時間に、ライバルのヨーランとシェークなどおやつをかけたバトルを繰り広げるウルフ。試行錯誤の末、書くことに夢中になって「動物」というテーマで犬のことを書いた。ところがヨーランの作文ときたらメチャウマ! だけどスタインベックのパクリ。それを指摘しようとしたら、先生が、ウルフの作文を「身近なことをそのまま書け」ていい、とウルフに高得点をつけてくれた! だけど、実は僕は犬なんて飼ったことがない(笑)。スタインベックに勝っていい気分になる、児童文学者ウルフのスタートが魅力の「シェークVSバナナ・スプリット」の2作収録。短くて、軽く読めるのに、忘れがたい余韻が残る。読むのがニガテな子にもオススメ。