児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

アップルパイをつくりましょ りょこうもいっしょにしちゃいましょ

 

アップルパイをつくりましょ―りょこうもいっしょにしちゃいましょ

アップルパイをつくりましょ―りょこうもいっしょにしちゃいましょ

 

アップルパイをつくろうとマーケットに行ったらおやすみ!そこでイタリアに行って小麦を手に入れ、スリランカに行ってシナモンを、と世界中を駆け巡って材料を集めてアップルパイをツクルナンセンスな絵本。ちょっとオシャレ系なので、対象は小学校の4年くらいからか。 

ミスターワッフル!

 

 

ミスターワッフル!

ミスターワッフル!

 

 猫のワッフルとボールくらいの大きさの円盤で降り立った宇宙人(サイズはアリほど)の攻防戦。字のない絵本(宇宙人たちの言葉は、謎の記号!)だが、なんともユーモラス。テントウムシやアリの支援を受けて、無事脱出するまでが描かれる。高学年の男の子とかが好きそうな雰囲気。

ホイッパーウィル川の伝説(2017 中学校 課題図書)

 

 

ホイッパーウィル川の伝説

ホイッパーウィル川の伝説

 

 姉のシルヴィは、ジュールズにやさしい。でも、すぐに一人で走り出してジュールズを置いてきぼりにする。かあさんは、死んでしまったけど、とうさんは優しい。近所のサムは、二人の真ん中の年齢。シルヴィ12歳、サム11歳半、ジュールズ11歳で仲良しだ。サムの兄さんのエルクは、無事に戦争から帰ってきたけど、一緒に行った幼馴染の親友ジークが帰ってこられなかったことに傷ついている。その日、行ってはいけない川の沈みどころ(川が地中にもぐる急流)に、シルヴィは願い事の石を投げるために走っていって、つまずき、川に呑まれてしまう。同じ日、キツネの女の子の赤ん坊に、魂がやどる。さまざまな願い事、大切な人を失った悲しみ。転生する魂のイメージなどが美しい。だが、かつて妻を失い、娘を失ったお父さんが耐えて、もう一人の娘を守ってる姿が一番すごく見えてしまうのは、親の視点かも。

みんななかよし けんかばし

 

みんななかよしけんかばし

みんななかよしけんかばし

 

 「かわをはさんでおおさわぎ」の新訳。川の両岸の人たちは、互いに対岸の人を嫌いあって、けんかばかりしていた。ところが、古い橋が壊れて行き来ができなくなると、生活に必要なものがそろわなくなり、とたんに困ってしまった。みんなは改めて橋を作り直し、それからは仲良くなったという、なんということのないおはなし。だが、アリキの絵が魅力。

ソフィアのとってもすてきなぼうし

 

ソフィアのとってもすてきなぼうし

ソフィアのとってもすてきなぼうし

 

 おとなりのゴールドマンおばちゃまは、ソフィアが赤ちゃんの時から、いつも帽子を編んでプレゼントしてくれました。そして、最近はソフィーに編み物もおしえてくれましたが、難しいので、ソフィーはボンボン製作専門にきめました。ところが、あるとき、おばちゃま自身の帽子がありません。あげてしまったというのです。自分の帽子をあむ時間がないおばちゃまのため、ソフィーはがんばって帽子を編み始めますが、難しくて、やっと完成したものも穴だらけでぶかっこう。おちこんでしまいますが、ボンボンで飾ってきれいにしておおおばちゃまにプレゼントしました。とてもステキな帽子に、おばちゃまは大喜び。ありきたりの展開だが、素直に描かれているのはよい。

ロベルトのてがみ

 

ロベルトのてがみ

ロベルトのてがみ

 

ロベルトは5人兄弟の真ん中、両親はメキシコ移民で、家の中ではスペイン語で話しているため、英語がわからない。お店でキャンデーがほしくなって、勝手にとってしまい「金をはらわなければだめだ」と英語で怒られても、怒られていることしかわからない。お母さんはやさしいが、若くして結婚したのでお料理がへたで、家のやりくりがうまくできない。おしゃべりをしていて買い物さえできなかった日に、お父さんに追い出されてしまった。ロベルトの下の小さな子はおばあちゃんに預けられ、上の二人は学校に行くが、ロベルトは一人で通りであそんでいた。石をガラスにぶつけたり、配達された牛乳を下水に流したりとトラブルを起こすロベルトを「子どもセンター」に預けるよう助言される。有料だが、食事も出る子どもセンター。最初は乱暴なことをしたり逃げ出そうとしたが、徐々に、友達ができ、遊びを覚え、英語もわかるようになる。そして文字を教えてもらったロベルトは、母親に家に帰ってほしいと手紙を書くことを思いつく。手紙を読んで帰ってきた母親は、追い出されていた間働いていた家で、家事を習ったため、家のことができるようになり、ロベルトが英語を書くことまでできるようになったことは父親を喜ばせる。メキシコ移民が、アメリカに溶け込んでいく様子がわかる物語が、エッツのやさしい絵で語られる。知識を得ることで、幸せになったロベルト、よかったね! 

空へのぼる

 

空へのぼる

空へのぼる

 

 小学校5年生の乙葉は、姉の桐子とおばあちゃん(厳密には祖母の妹)と暮らしている。15歳年上の姉は農業高校を出て、造園会社に勤めて働き、家を支えている。両親は、父の失業を機に生活が崩れ、ついに二人を置いて失踪したのをおばあちゃんがひきとってくれたのだ。最近桐子に彼氏ができた、空師(高いところで働く植木職人)の軍二はやさしいので、乙葉は軍二が大好きだ。学校では命の授業が始まり、赤ちゃんが生まれるのが、どんなに素晴らしいことかを教えてもらっていた。だが、そんな中、おばあちゃんの言動がおかしくなり始める。そしておねえちゃんと軍二の間も・・・。子どもの誕生と木にかかわる仕事の紹介を織り込んで、楽しく読ませるが、未婚で妊娠した桐子の不安。ガンガン働いていて、流産大丈夫か?の心配、善良で、乙葉もおばあちゃんも受け入れてくれる軍二など、ちょっと理想郷過ぎで、オハナシ、という感も残ってしまう気がする。