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児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

くいしんぼうのあり

「にひきのいけないあり」と比べ読みをしていました。 

くいしんぼうのあり

くいしんぼうのあり

 

 食べ物を探しに行ったありがきらきらひかる食べ物をもってきた。女王さまは、それがとてもきにいったので、ありたちはみんなで取りに行く。木島氏が自分で言っているように、やや意訳的にやわらかい訳文にしあげているので、グレードを下げてよみきかせに使える。ただ、やや風刺的な雰囲気があるので、これは村上氏の訳のほうが良いかも。

にひきのいけないアリ

 

2ひきのいけないアリ

2ひきのいけないアリ

 

探しアリがみつけてきたクリスタルを女王さまが、とても気に入りました。大切な王女さまのためにみんなでクリスタルを探しいに行きます。ついたところは人間の家、砂糖入れからみんなで砂糖を運びますが、2匹のアリだけが、ここで、このおいしいものを食べてのんびり過ごそうと残ります。すると、朝になり、砂糖とともにコーヒーにほうりこまれ、必死に脱出してパンに潜り込んだらトースターにほうりこまれ(このへんの経緯は、絵でわかる。アリの主観では、茶色い苦い水など)、最後にやっと脱出して、再度砂糖を取りに来た仲間とともに、無事に帰る。ちょと怠けたありがさんざんな目に合う様子をユーモラスに描写したところは、高学年向きよみきかせに使えるかも。 

ボノボとともに

 

ボノボとともに  密林の闇をこえて (単行本)

ボノボとともに 密林の闇をこえて (単行本)

 

14歳のソフィーは、アメリカ人の父とコンゴ人の母を持つ。母がボノボの保護活動に精力を傾けてコンゴ共和国に留まることを選んだため、二人は離婚。ソフィーは、休みの時だけ母の運営するボノボの保護施設に遊びに来ている。ある日、ボノボの子どもがひどい扱いを受けて売られているのを見て、禁止されているにもかかわらず、衝動的に買ってしまう。オットーと名付けたその子の世話を懸命にしているうちに、特別な絆を感じるようになる。だが、直後にオットーを売った男が、別のボノボの子2頭を持ち込んでくる。親は間違いなく殺されたはずだ。自分が一度買ったことの結果を目の当たりにしてショックを受けるソフィー。帰国直前、母はボノボを野生に返すため施設を離れるが、その直後革命が勃発。アメリカ大使館から迎えがくるが、取りすがるオットーを振り払えずに、車から飛び出し、ボノボの保護地に飛び込んだ。直後、手当たり次第破壊と略奪をする兵士が施設に乱入。職員は次々に殺され、施設は占領されてしまう。だが、ボノボも常に友好的とは限らない。攻撃されないような振る舞いを続けるうちに、オットーと共に群れに受け入れられるが、いつまでもここにはいられない。しかし、オットーと共に抜け出そうとすると、群れがついてきてしまった! 兵士にみつかればレイプされ殺されかねない中、ボノボたちと共に、どうやって生き延びるかというザバイバルが始まる。政府がまともに機能せず、利権を狙う外国も兵士たちが殺し合うままにさせる現実。鉱山への強制連行で無人となった村や虐殺の村、殺した人間の指を切り取ってネックレスにしている少年兵、混乱する内戦状態の中で、ギリギリのところで助かる主人公は、ちょっと都合よすぎともいえるが、やはりこうあって欲しい。人が次々と殺されていく中でもオットーを守らずにはいられないソフィーの想いには、強い説得力がある。主人公はどうなるのか、というドキドキハラハラで一気に読んでしまう。 

へんなネコのセラピナ

 

へんなネコのセラピナ (世界の傑作童話 9)

へんなネコのセラピナ (世界の傑作童話 9)

 

 ズバリ、ネコ版メアリー・ポピンズの物語。サリナス家に突然やってきたネコは、しっぽで牛乳瓶を運び、とびついてブラインドのひもをひっぱり、子どもたちを起こし、テキパキと家事と子守をこなしてくれますが、サリナスの奥さんは、こんな普通でないことがあっていいのかと気に病みます。このネコのセラピナに対し、ご近所の奥様がたもまゆをひそめますが、最後にはすごい猫だと認め、セラピナ自身も子猫を生んだあとは普通のネコに戻り、万事ハッピーエンド。気持ちよく楽しめます。

ながいよるのおつきさま

 

ながいよるのおつきさま (講談社の翻訳絵本)

ながいよるのおつきさま (講談社の翻訳絵本)

 

 毎月ごとのお月様に名前をつけたアメリカ原住民に敬意をささげたライラントの詩に絵をつけもの。高学年のよみきかせに使えるかもしれないが、しっとりと落ち着いた作品なので、それでいけるクラス。絵は、当たり前だが、すべて夜の風景。情緒はあるが、絵がなくて、詩のままでもよかったかも。

いちご 語りかけ絵本

 

いちご (語りかけ絵本)

いちご (語りかけ絵本)

 

 「パクリ!たべちゃったいちごないねぇ」というような文で、読むと自然に語りかけになる、とかいてあるが、今どきの若い両親は、この程度の語りかけを、絵本(テキスト)なしでできないの? と思わずぎょっとした。悪いわけではないが、絵本なしで、ふつうに語りかければよさそう。

スラムにひびくバイオリン

 

スラムにひびくバイオリン―ゴミを楽器に変えたリサイクル・オーケストラ

スラムにひびくバイオリン―ゴミを楽器に変えたリサイクル・オーケストラ

 

パラグアイの実話をもとにした絵本。よみきかせには、ちょっと長め。ゴミの山から使えるものを拾い出す仕事が主に収入源のスラムでアーダは育った。未来への希望はなく、けんかや盗難が横行している。ところが、そこへ楽器を教えようと言い出した人物チャベスがやってきた。祖母が申し込んだため、習いに行ったアーダは心惹かれるが、楽器は高価で買えない。ゴミをリサイクルして手作り楽器をつくることにした。チャベスの要求は高かったが、アーダは懸命に練習し、それによって自信もつけていった。やがて、このリサイクル・オーケストラは評判になり、最初は地域で、都会へ、そして外国公演まで行うようになり、大勢の生活を改善させた。「モノ」よりこうした「感動の物語」が、今収入になるのだな、と思いました。