児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

戦場のコックたち

 

戦場のコックたち

戦場のコックたち

 

 第2次世界大戦に参戦したアメリカの青年キッド。食べることが好きで料理も好きな彼は、軍務を行いつつコックの仕事を担当することを志願する。いわば、学校で、勉強しつつ給食当番を行うようなものだ。それにはエドの存在が大きかった。いつも落ち着いていてちゃんとした料理を作る。なのに味音痴でレシピどうりにしか作れないというエドに料理好きを見込まれてスカウトされたのだ。パラシュート部隊としての軍務をこなしながら料理をする彼ら。パラシュートを集める兵、消えた糧食など、小さな謎ときが、壮絶な戦闘の中で描かれる。エドとキッどが、いわばホームズとワトソンとなるのだが、仲間が死に、あるいは負傷するという戦場の姿も、もう一つの主人公といえる。アメリカ参戦以降もどんなに戦いが大変だったかの一端が垣間見えて、ちょっとイメージが変わりました。エピローグも、それぞれが、必死に生きた戦後を見せてくれるようで、佳作です。

キャットインザハット ぼうしをかぶったへんなねこ

 

キャット イン ザ ハット (ビギナーブックスシリーズ)

キャット イン ザ ハット (ビギナーブックスシリーズ)

 

雨で外に行けない日のお留守番。なにもすることがなくてただすわっていたぼくたちのまえにキャットインザハットがやってきた。面白いことをしようと言って、次々にいろんなものでジャグリングしてくれたり、モノ1号と、モノ2号という遊び友達を出してくれる。だけど金魚は、お母さんがいない間にそんなヤツをいれちゃいけないと大騒ぎ。そして、キャットやモノのせいで家の中はめちゃくちゃになってしまう! さあ大変、お母さんが帰ってくるのが見えたその時、キャットはなにもかもきちんと片づけてくれる。ちょっとアメリカンコミック風の絵柄だが、物語は子どもたちが素直に楽しめるワクエアク感がある。 

燃えるアッシュロード

 

燃えるアッシュ・ロード (1980年) (偕成社文庫)

燃えるアッシュ・ロード (1980年) (偕成社文庫)

 

 乾燥しきった草原は、わずかな失火が大火につながる。キャンプでアルコールランプを倒してしまったために火をつけてしまうグレハム、ハリー、ウォーレスの3人。火は燃え広がり、草原の中の街、アッシュロードに向かってしまう。大人が消火に向かい、子どもが残された街へ。頑固な父のもとで苦しみ、その父が発作で倒れたことを抱え込むローナ、一人息子として甘やかされることにいら立っているピーターなど危機に直面した子どもたちの個性が魅力。

ミラクルズボーイズ

 

ミラクルズボーイズ

ミラクルズボーイズ

 

 ラファイエットはニューヨークは、ハーレムで暮らすプエルトリコ人の3兄弟。長男のタイラーが保護者となって働いてくれているが、生活はきびしい。次男のチャーリーは、昔はいい兄さんだったけど強盗事件で捕まって少年院に入れられた。帰ってきたチャーリーは悪い仲間とつるんで、すっかり変わってしまった。三人の父さんはラファイエットが赤ちゃんの頃、冬の公園で池にはまった犬と女の人を助けて、代わりに死んでしまった。苦労して3人を育てていた母さんも、チャーリーが少年院にいる間に、病気で突然死してしまった。どうにもならない暮らしの中で、それでも懸命に兄弟で暮らすために頑張っている兄タイラーと、絶望的になっているもう一人の兄チャーリー。チャーリーが悪なかまにハメられ、結局それをきっかけにもう一度こちらに戻ってくれるまでが描かれる。厳しい状況ながらも、3人で、力を合わせてやっていきそうなところが救いかな。

人形の家にすんでいたネズミ一家のおはなし

 

人形の家にすんでいたネズミ一家のおはなし (児童書)

人形の家にすんでいたネズミ一家のおはなし (児童書)

 

 伯爵家の人形の家(豪華なドールハウス)にネズミの一家(両親と13匹の子ネズミ)が住んでいた。一家は、人形の家の手入れに注意していたが、伯爵邸のリフォームが始まり、人形の家の古さが気になり始める。子ネズミたちは、両親の留守に家をきれいにしようと石鹸でそうじするが、かえって壁紙がはばれメチャメチャになる。家はどこかに運ばれていき、ネズミ一家は庭のものおきの片隅のみじめな暮らしに。だけど、なんと! 伯爵は人形の家をきれいに直してまたすえつけてくれたのです。ネズミ一家はきれいになった我が家にもどりめでたしめでたし! なんということのない話だが、絵がかわいいので、多少長めのお話が聞ける子に読み聞かせてあげれば喜ばれそう。

三島由宇、当選確実

 

三島由宇、当選確実! (文学の扉)

三島由宇、当選確実! (文学の扉)

 

 選挙戦も開始です。

さて小学校5年生の由宇は、児童会の活動にも積極的に参加しているハキハキした女の子だ。今まで知らなかったおじいちゃんが、病院で意識が戻らないという連絡がきてびっくり! さらにお父さんのお父さんだというのに、お父さんが行きたがらない。無理やり病院に連れていくと、初めてあったおじいちゃんは、なんと副大臣も務めたことがある衆議院議員連続当選の大物だった。だが、かつてお父さんは議員を継ぐのを期待されながら、性格的に向かなくて家を出た過去があった。さらに、お母さんは選挙の手伝いで無理をしたことがきっかけで倒れて病気で亡くなり、以降お父さんはおじいちゃんと断交していたのだ。だが、由宇は興味しんしん。折から選挙が始まり、自分から手伝いをかってでる。おじいちゃんを応援しつつも、対立候補の演説を聞いて納得したり、批判を受けて考えたり、選挙についていろいろ考える。政治とは困っている人を助けることだ、理解する由宇。今後政治家目指す雰囲気ムンムンだけど、困っている人をどう助けるのかは、一筋縄ではいかないから、簡単に由宇のおじいちゃんを応援はできないよ!

かみくず大さくせん

 

かみくず大さくせん―ちゅーちゅーおそうじがいしゃ〈2〉 (児童図書館・文学の部屋)

かみくず大さくせん―ちゅーちゅーおそうじがいしゃ〈2〉 (児童図書館・文学の部屋)

  • 作者: ビビアンフレンチ,アンナカーリー,Vivian French,Anna Currey,おかだよしえ
  • 出版社/メーカー: 評論社
  • 発売日: 2001/04
  • メディア: 単行本
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 「ちゅーちゅーおそうじがいしゃ」第2弾。だが、最初にネズミの兄弟がお掃除会社をやっていることの紹介がないので、この本から読み始めた子は、とても戸惑うと思う。また、クマネズミのラッタス先生のおそうじをうさぎのラビット夫人がお金を払って依頼するというのも、なんだか大丈夫?という気分になるのはねずみたちだけじゃないですよね。(結局、特に問題はなかったのですが)。紙屑がたくさん散らかっている原因が、うさぎの子どもたちが、家で漫画を読むとおこられるので、ここで隠れて漫画を読んで、ちぎって散らかしていた。というオチだが、別にちぎらなくてもいい気がするし、今後読めなくなってかわいそうだし、もうちょい何とかしてあげてもよかった気がした。