ユダヤ人のアレックスは、ポーランドのゲットーに住んでいる。しかし、ある日ゲットーからのユダヤ人立ち退き命令が出た。連行される途中で一人逃げ出したアレックスは、ハツカネズミのスノーと共に、がれきの中で潜んで暮らし始めることになる。見つかることは死を意味する暮らしと孤独。どうやって生き延びるかに直面するサバイバルな物語。
平和像を建てる試み、戦争の研究発表、他国との交流など実際の子どもたちの事例が語られる。それぞれの子どもたちは、迷いなくやれたわけではないと思うので、悩んだり、おびえたりしながら、やはりやろうと行動していったようすを紹介した方が、これから行動したい子どもたちの参考になるように思った。あと、小金高校の事例など何年の出来事か記載がなかったが、どのような時代の流れの中での行動か理解するためにも入れて欲しかった。
さまざまな反戦運動をした人のエピソード集。ただ、基本が一人につき見開き2ページなので具体的なことがわからないのが残念。戦争に反対した国会議員は、対案をださなかったのだろうか? ものみの塔の兵役拒否の事例についても、それではものみの搭が素晴らしい宗教かというと疑問もあるし、他にも弾圧を受けた宗派がある。具体的な記述で印象に残ったのは「沖縄のガンジーとよばれた農民 阿波根昌鴻」で、「静かに話す。道理を通してうったえる。軍を恐れない。」などの実践で、実際に効果をあげたと具体的な記述がある。できたら、こうした具体性と、それが事態をどう変えたかをもっと描いてほしかった。
主人公は5年生の元気な女の子ヒロカ。同い年の東京のいとこ匠が、近所に住む祖父のところに夏休みに2週間も来るときいて驚く、匠は、ヒロカの住む田辺に終戦間近に落とされた原爆投下の練習用模擬爆弾パンプキンを調べにきたのだ、いつも行っている近くのコンビニにパンプキンの碑があるのに気付いたヒロカは驚くが、練習用だなんてひどい、と憤慨しつつも、日本も戦争中には原爆を作ろうとしたことや中国や朝鮮でひどい行いをしたことを知って混乱する。何が正しいかなんて、簡単にわからないけど、しってしまった驚きを他の人にも伝えて、これからも考えていこうと思う。「若おかみ」シリーズの作者らしい、軽快なノリで読ませるところは魅力。もう一歩ふみこんでほしい面はあるので、紹介するなら他の本と組み合わせるとよさそう。
日本の歴史を元に、戦争の歴史について語られているが、基本的なことは知っていることが前提となって書かれている。例えば、従軍慰安婦という言葉が、説明抜きでポンと出てくる! 縄文時代には戦争がなく、弥生時代に戦争が始まったところからスタートしているが、佐原真氏が丁寧に論証しているのを読んだ時は感動したが、行ほどにまとめられると逆に読み流してしまいそうになる。また「進化しつづける人殺しの兵器」については図書館員が教えてくれる形式で書いてあるが、図書館員は資料を紹介し、この本のこの索引を調べてみると良い、とはその子どもが自分で調べられるように教えるのが役割で、学校の先生ではないので出典を示さずに直に数値を教えたりはしない。こうしたところが雑に描かれていると、全編の信用にかかわる。重要なテーマなので、もう少していねいさが欲しいと思った。
絵本としているが、いわゆる絵本ではない。言葉が全体的に抽象的で、教材的な感じがする。例えば「争いが起きるのはどんなとき? 食べものがないとき 飲む水がないとき ・・・」と続くが、ちょっと紋切り型? 食べ物がなくても争いが起きない場合もあると思う、例えば全員が持っていない時、もしくは協力によって食べ物の入手が可能になるときとか。また「自尊心をうばわれた人間は相手も自分も傷つける。傷つけたしかえしをするよりも自尊心を返してやったほうがいい」と書いてあるが、アキバ事件などもこうした事例だと思うが、それが簡単ではないことが大きな問題だと思う。これで終わってしまっては解決できないと思う。1巻なので、前書きかとも思うが、もう少し突っ込んで欲しかった。