児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

ロージーとムサ

ロージーとムサ

ロージーとムサ

  • 作者: ミヒャエル・デコック(Michael De Cock),ユーディット・バニステンダール(Judith Vanistendael),久保谷洋(くぼたに・ひろし)
  • 出版社/メーカー: 朝日学生新聞社
  • 発売日: 2012/07/06
  • メディア: 単行本
  • クリック: 1回
  • この商品を含むブログを見る

横書きの文体に違和感を感じながらも、読んで行くうちにあまり気にならなくなる。大きな都会の街に、両親の離婚後母親と引っ越してきたロージー。そのアパートで、仲良くなったムサと、禁じられている屋上へ行ってしまうことが、小さな冒険として描かれている。しかし、管理人に鍵をかけられてしまい、屋上に閉じ込められてしまった二人は、多いに混乱するが、どんな問題でも解決する方法はある!という前向きさで、屋上から脱出。その過程を描くまえに、子供嫌いの管理人にまたも見つかりそう…という時系列が若干ずらして描かれるため、ロージーたちが、どうなったのか読みては知らないまま物語が進むため、ドキドキする構成になっている。


小さな事件と、子どもたちの友情や周囲の大人たちをシンプルにまとめているが、途中絵だけでストーリーを表現しているページがあり、すこしわかりにくい部分もある。


個人的には、後半の二人の遊び

あべこべごっこに、ロージーとムサの、君が黒人で、僕が白人だったら…という下りは、唐突な作者の思想が現れて、日本人にはその深刻さをどこまで感じられるのか、疑問な点はあるが、今後の二人の友情に大きな意味があるのだなと感じた。第二作目も読んでみたい。