児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

うれしいさんかなしいさん

うれしいさんかなしいさん

うれしいさんかなしいさん

概要 

表紙側からと、裏表紙側との両方から読み進めて、本の真ん中で出会うようになっている本。

表側からは、あるところに「うれしいさん」がいて、はじめはごきげんなんだけれども、「でも、大変」な事があると「かなしいさん」になってしまう。「でも、よかった」で「うれしいさん」になって、と、ページを繰るごとに変わっていく。「よかったねネッドくん」パターンで、ある意味裏も表もない、たわいもない話。裏表紙からも同様に読み進めると、本の真ん中の折り込みページで双方が出会い、そこいら中が「うれしいさん」でいっぱいになる。

読み聞かせで使う場合、表表紙側から読み進め、真ん中まで来たら、一旦裏表紙に戻り、そこからまた真ん中まで読み進めて、最後に折り込みを開く、でいいのだろうか。

感想

うれしいさんが本を読んだら悲しい話だったので「かなしいさん」になってしまって、でも、結末がハッピーエンドだったから「うれしいさん」になって、というように、物語の持つ力、みたいなものを信じる視点がどこかにぴりりと効いている。いい本だと思う。

いずれにせよ、それほど深刻に取る必要はないと思われる。松岡享子直筆の挿絵も、なんだか気の抜けた落書きのような、それがなかなか味わいのある絵になっている。

実際、この単純さは子どもにはよいらしい。うちの娘に読んだらたいそう気に入って何度も読まされた。

評価

幼年および絵本に複本で、各館所蔵しておくべきと考える。長く読み継がれる可能性のある本。