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多数決とジャンケン

多数決とジャンケン ~ものごとはどうやって決まっていくのか

多数決とジャンケン ~ものごとはどうやって決まっていくのか

概要

2006年刊

分類361

物事の「決まり方」について取り上げた本。

多数決という民主主義の原理と、偶然性にたよる原理の二つの側面から、それぞれの詳細を解説する。

多数決と言っても、単純な多数決では不公平な場合があること(多数派が分裂しているような場合)、キャスチングボードを握る、というような状態のこと、これを回避する決選投票のような仕組み、とか、いろいろなバリエーションが紹介される。

くじ引き原理の方も、先に引いたらトクなのか、とか、ジャンケンのほかの公平にくじを引く方法などを紹介する。

ジャンケンという方法はアジアでは広く普及しているが、欧米ではコイン投げのような二択が主流であるとか、室町時代にはくじ引きで決まった将軍がいたとか、興味ぶかい。

 

感想

「決まり方」については、その後本が出るようになっているが、比較的早い方ではなかったか。

本書はわりと技術論的的な事が主だが、民主主義とは何か、というようなもっと本質の部分に踏み込んでほしいと個人的には思う。

しかし、タスウケツといえば何でも許されると思っているようなコドモにはこの位からでいいのかも。

評価

視点はおもしろいが踏み込みはもう一歩不足。

中央に一冊、でよい本。

対象は小学校高学年から。