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課題図書 永遠に捨てない服が着たい

永遠に捨てない服が着たい―太陽の写真家と子どもたちのエコ革命

永遠に捨てない服が着たい―太陽の写真家と子どもたちのエコ革命


子供達に資源の大切さ、ゴミの問題などを、自分たちの問題として考えさせる一つのプロジェクトを打ち立てたノンフィクション。そして、それをナビするのはカメラマンの若い男性という新鮮な設定で、ノンフィクションながら読みやすい構成になっている。


この作品のおもしろいところは、電池やスーパーのトレーのリサイクルなど子供達に自らどうすべきか考えさせ、大人はどちらかというと受け身に徹しており、唯一そのカメラマンが自分の仕事の経験などを子供達に語り、何かしらの問題提起をするところにとどまっている事だ。
また、中盤から、良いことと信じていたリサイクルが、はたして本当に正しいこと…?といきつく子供達の思考の過程が面白い。リサイクルより、そもそも物を捨てないことの方が地球環境を守ることにつながるというのが、言葉にしてしまうとあたりまえなのだが、子供達の話し合いから発生した意見となると、ハッとさせられる部分が多い。
与えられた意見より、自ら生み出した意見の重みは圧倒的に違うということなのだろう。
感想文にはテーマも明確だし書きやすい作品だと思われる。ただ、個人的には、このカメラマンのエピソード、そんな必要かな?と思ったりするのだが…。