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課題図書 チャーシューの月

チャーシューの月 (Green Books)

 

チャーシューの月 (Green Books)

チャーシューの月 (Green Books)

チャーシューの月

2013年度中学校課題図書。養護施設あけぼの園を舞台とした、子どもたちの姿を描く。小学校卒業間近の美香と、新しくやってきた6歳の明希を中心に、虐待を受けつつも親を慕う思いを持ち続ける姿や、不満を持つゆえの、施設内での 互いへのいじわる、しかし、いざというときは、まとまって助け合う姿を描く。明希がカメラのような記憶力を持つ、という設定で「カシャ、カシャ」というのだが、そうした能力を持つ子が、「カシャ」というのだろうか?というのは素朴な疑問。明希が施設から消えたのち、とどまる決意をするのがクライマックスだが、明希を気にしつつ、同室のゆかに対してはムカつきをおさえられない美香の問題など、もう少し書き込みが欲しい思いがする。感想文は書きやすそうだが、安っぽい感想文「かわいそうだと思いました」風にせずに仕上げるのは大変そう。

ちなみに、一般書だが、養護施設を舞台とした

七つの海を照らす星 (創元推理文庫)

 

は、日常ミステリーの味付けをした作品。私は、こちらの方が好きです。