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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

RDG5 学園の一番長い日

今更のようですが、ぽつぽつ読んでいます。

今日も、カウンターで2回ほどリクエストがあった。何かで紹介でもされたのでしょうか。

 

概要

姫神の化身である、主人公泉水子は、一見気の弱い女子高生。彼女の血統を代々守護してきた山伏一族の深行。泉水子と、深行の微妙な恋愛関係の進行を隠し味に、戸隠の神官系列で、これまた神霊と血の絆で結ばれた宗田兄弟、陰陽師の系統高柳一派と、なんだか訳の分からぬ能力者がごった煮に放り込まれて抗争する山奥の特殊私立高校鳳城学園を舞台に、なんだか訳の分からぬ世界遺産指名を賭けた戦国学園祭が開幕する。

 

感想

まことにサービス精神に満ちあふれた作品で、楽しく読ませるという点では大いに評価される。仕掛けが、山伏だの、陰陽師だのと、なじみのない日本神話系ファンタジーで、西洋魔法ものにいい加減飽きてきた読者に目新しいのもいいのだろう。日本神話ファンタジーという、他にはほとんどない新ジャンルをほぼ独力で開拓した著者の力量は否定しようがない。

大衆性、娯楽性を否定はしないけれども、だけれども、というところ。

まさしくライトノベル。というか、少女マンガ?

以前に書きかけた定義に従うと、

1)主人公は等身大であること

だいたい同世代の女の子(男の子)であり、第3世界とか、中世とか、あまり好まれない

ここでは、「気弱な女子高生」

2)そのくせ、何か特殊な才能を持った、特別な存在であること

魔女とか、若女将とか、霊媒師とか、この場合姫神とか。

そうすると、登場人物はだいたい類型的になる。

3)会話がテンポよく進むこと

4)ストーリーは出来事中心で、どんどん進むこと

ここまでは、まったくその通り。あとは、同じ枠組みでも、巧拙、独自性とか色々な観点からの評価が可能だと思うので、その点で、技術論的にもっと論じなければならないのかもしれません。およそ、よく読まれる物語はすべからくライトノベルの骨法を保っていることは間違いないのでしょうから。

引き続き検討します。