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わたしは憧れているのアンネ・フランク

わたしは憧れているの アンネ・フランク (生き方の研究)

わたしは憧れているの アンネ・フランク (生き方の研究)

アンネの実像に、客観的に迫ろうとした好著。ソフトな装丁から想像できないくらいきっちりした内容で、「かわいそうなアンネ」を求めて手に取るとある意味がっかりするかも。

アンネは、意思が強く、親やまわりを辛辣にみる普遍的なティーン・エイジャーでとして描かれる。若さゆえに物事を理解しきれていない事さえある。だが同時に、正当に生きたいという強烈な思いがある。隠れ家という限界のある空間で思春期を迎え、恋に恋して、さらにそれを超え、ペーターをふりまわす。

強いて言うと、『アンネの日記』を読んでいないとわかりにく、つまり予備知識が少ないとわかりにくいという点が欠点といえるかもしれない。でも、道徳で伝記が増えているというような報道をみたが、このようないい意味で期待を裏切る伝記がもっとほしいとおもう。