モーツァルトはおことわり

モーツァルトはおことわり

編集長の骨折のおかげで、世界的なヴァイオリニストのパオロ・レヴィにインタヴューするチャンスをつかんだ23歳のレスリー。彼は、プライベートを明かさず、モーツァルトを演奏しないことで知られていた。「モーツァルトのことは聞いてはダメ」と注意されていたのに、緊張したレスリーは「モーツァルトのことはききません」と口走ってしまう。だがレヴィは、怒らずに、ヴァイオリニストであることをやめた両親と、その理由を知った子ども時代の思い出を語りはじめた。強制収容所の選別の際に、ユダヤ人を落ち着かせるために無理やり弾かされたモーツァルトの思い出と、その痛みという悲劇を。戦争のむごさを穏やかに伝える。