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カイサとおばあちゃん

カイサとおばあちゃん (リンドグレーン作品集 23)

カイサとおばあちゃん (リンドグレーン作品集 23)

おばあちゃんを助けて、立派にクリスマスの準備をやりとげる「カイサとおばあちゃん」。母の入院中にあずけられたおばの家の扱いにキレてしまう「エヴァーかわいいピイアン」。報われない美しい想いを抱き、自分を犠牲にする愛を捧げても気づかれない「プリンセス・メーリット」。うっかり家に入れてしまった浮浪者との交流「おやすみなさい、放浪のおじさん!」など、ある意味戦慄するほどの、子どもの無情さをきっちり描き、読む人間をはっとさせる。こんなの、子どもに読ませていいの? 子どもが読んでわかるの?と思うほどだが、リンドグレーンは、子どもの目を一生もっていた大人だから書けたのだろうなぁと思わされる。たぶん、読んだ子は全てわからなくても、絶対忘れないでしょう。