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サラスの旅

 

サラスの旅 (-)

サラスの旅 (-)

 

 ホリーは施設を出て里子として暮らし始めるが、いつか本当の母親が迎えにきてくれるという思いから抜けられない。大好きだったケースワーカーのマイコは、他の施設に移る前に、ホリーをなんとかしたかったと言ってくれた。家庭を与えたかったのだと。だが、里親のフィオーナが、癌の治療中に使っていたプラチナブロンドのウィッグを見つけた時、ゴージャスな女の子サラスがホリーの中に生まれる。14歳のホリーではなく、もっと大人のサラスになって、ヒッチハイクの旅に出る。他人の善意と不安、その中でホリーは、自分の過去を少しずつ思い出していく。母に捨てられた事実を思い出し、フェリーから飛び込もうとする中で、ウィッグが風に身代わりのようにとばされていくシーンが印象的。ホリー、がんばってね! それにしてもダウドさんが亡くなったのが、悲しいです。もっと書いて欲しかった。