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路上のヒーローたち

路上のヒーローたち

路上のヒーローたち

エチオピアのストリートチルドレンの物語。母の死により知らない大人に身売りされ、農場で奴隷のように働かされたマモ、また暴力的な父から逃れる、裕福な家の子供ダニ、様々な理由から家をでて路上生活を余儀無くされた子供達の物語。

ひどい状況下でありながら、心ある大人に随所で救われ、生きていたい!というシンプルな願いにより子供達は今いる場所から逃げて行く。大人の無力さと、子供達の強さが読んだあと、ずしんと残る。
生きていたいんだ!と毒グサを食べて死に損ねたマモの描写がとにかく切ない。
生きたい!なんて子供が自問自答しなければならない世界は、本当はあってはならない気がするが、世界にはそういう国があるのは現実。しかし、この物語の子供達は、健気に必死に、時に優しい気持ちで陽気に生きていく姿が描かれていて、それだけは唯一の救いである。
様々な子供たちの視点から物語はすすむが、やはりマモの成長がメインで描かれているので、マモが主役で書いた方が物語的にはスッキリしたかなーという感想。