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テディベアの夜に

 

テディベアの夜に (ハートウォームブックス)

テディベアの夜に (ハートウォームブックス)

 

 「いっそ死んでしまったと思えば」という父の言葉を聞いて、自分は死んだ方がいいのかと動揺した5歳のケイト。実はエマという姉がいて、生後まもなく誘拐されたことを名づけ親から知らされる。過保護気味の両親、とりわけ感情の波が激しい母親のもとで、ケイトは反抗的な娘に成長する。エマが生きていて帰ってくることを夢想しているが、ある日、派手な化粧をした過激な少女が手紙を持ってやってきた。そこにはその少女こそエマだと書いてあった。だが、それはその少女ロージーにとっても寝耳に水のできごと。貧しい地区で、虐待の疑いもあるような暮らしの中で育ったロージーだが、それでも自分の母を信じている。母が再婚のために自分を捨てたと傷つき、上流のケイトの家の胡散臭さに反抗するロージー。そしてケイトも、自分のイメージと全く違う姉に反発する。タイトルのテディベアは、ケイトが姉とともに持ち去られたテディベアを作ってロージーが姉である証拠にしようとしたことによる。反発しあいながら、関係を築く姉妹の姿がおもしろい。また、ロージーはエマなのか、というサスペンスの要素も、物語を盛り上げる。アメリカには、時々この手の話があるが、誘拐って多いの?