児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

発電所のねむるまち

 

発電所のねむるまち

発電所のねむるまち

  • 作者: マイケルモーパーゴ,ピーターベイリー,Michael Morpurgo,Peter Bailey,杉田七重
  • 出版社/メーカー: あかね書房
  • 発売日: 2012/11
  • メディア: 単行本
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ケンカでケガをした僕を助けてくれたペティグルーさんは、湿地に客車を置いて一人暮らしをしていた。ロバと3匹の犬と一緒に。ペティグルーさんは、若いときに結婚してタイから来た。この地を愛した夫のために、発電機の事故で夫が死んだあと、今も住んでいるのだ。だが、自然豊かなこの地に原子力発電所の建設計画が持ち上がる。僕のかあさんと、ペティグルーさんは最後まで反対するが、ついに建設は強行され、彼女は故郷タイに帰り失意のうちに亡くなった。ぼくも成長してまちを離れ、50年以上たった今、再訪して回想を語る。1962年に建設され2002年に廃炉になったブラッドウェルの原子力発電所をモデルに書かれた作品。この原発がこれから200年にわたって廃炉作業を行うという現実を知ると、失ったものの大きさを感じる。