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ノエル先生のしあわせクーポン

 

ノエル先生としあわせのクーポン

ノエル先生としあわせのクーポン

 

 若くてステキな先生を期待していた5年生のみんなは、新学期に年寄で太ったノエル先生を見てガッカリ。ところが先生は不思議なクーポンを配ってくれた「ねぼうする券」「宿題をしない券」「わすれものをする券」「授業中に食べる券」など変な券がいっぱい。子どもたちは、さっそく券を使って遅刻してみたり、突然歌ってみたり! でも、中にはクーポン商売を始める子も現れる。先生の授業は思いがけず面白く、みんなはしだいに先生が大好きになるが、きびしい校長先生は、学校の秩序を乱すといってノエルを学校から追い出してしまう。けれど、最後の日、先生は、一人ひとりが持っているクーポン券(=権利)の存在をしっかり伝えて去っていく。
作者はアメリカ生まれだが、結婚してフランスにわたり、そこで児童文学者となった。人間の権利の問題を、嫌味なくクーポンで見せる手法は、フランス的なイメージだが、お説教めいてなく、ちょっと岡田淳さんの世界のよう。嫌味な校長が回心せず残念です。校長先生のためにね。