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ラ・プッツン・エル 6階の引きこもり姫

 

ラ・プッツン・エル 6階の引きこもり姫

ラ・プッツン・エル 6階の引きこもり姫

 

 

昔々、たいへん狂暴なお姫様がおりました。プッツンしてキレると手がつけられなくなるのでラ・プッツン・エルとよばれていました。という冒頭から始まるお話。

部屋のありとあらゆるものを壊し閉じこもる姫は14歳の中学生。

学校へは行かず、引きこもり生活している。空き缶を拾って生活するホームレスのカラス男爵や潔癖症の少年ジャクを双眼鏡で観察していたプッツン姫。ある日、姫はみつあみロープを天窓からたらして彼らを救ってしまいます。

ラ・プッツン・エルというタイトルにひかれて読みました。装丁も中学生が気軽に手に取りやすいものになっているのかなと思います。内容は、引きこもりや家族の問題を扱っていますが童話ラプンツェルになぞらえて(父親を魔王とよび、姿を見せずに世話をしてくれるカウンセラーを心やさしき魔女とよび、マンションの天窓からみつあみロープをたらしたりもします)軽快に読みやすく書かれていると思いました。プッツン姫がどうして部屋に閉じこもることになったのか、少しずつ謎が解け姫とジャクが連絡し合うようになるまではおもしろかったです。ただ、最後に姫のマンションが火事になる部分は必要だったのかな?と思いました。姫と魔王の問題も解決したわけではなく、終わりが少し物足りなく感じました。