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日ざかり村に戦争がくる

 

日ざかり村に戦争がくる (世界傑作絵本シリーズ)

日ざかり村に戦争がくる (世界傑作絵本シリーズ)

 

 ファン・デ・ルナが住む日ざかり村は、地図にも載っていないような、スペインの小さな村だ。戦争が始まった時も、何も変わらないように見えた。だが、少しづつ変化が見えてくる。足りなくなる物資。戦争に駆り出される若者、戦死の知らせ。戦争に駆り出されるのを拒んで山にこもった父さん。だが、その父さんも山狩りで見つかり銃殺される。スペイン内戦の暗い歴史が、しだいに日常をむしばんでいく残酷さを描いている。戦争の恐ろしさというのは、むしろこうしたことかもしれない。堀越千秋の挿絵は迫力があるが、好みが分かれるようで、拒否反応を見せる人もいる。個人的には嫌いではない。