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はたらきもののじょせつしゃけいてぃー

 

はたらきもののじょせつしゃけいてぃー (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)

はたらきもののじょせつしゃけいてぃー (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)

 

 今更、なのですが。今、うちの息子がおおはまり中。今日は寝る前に4回読まされました。

言わずと知れたバートンの古典的絵本。でも、ちいさいおうちとか、せいめいのれきし、のような文句ない大名作とも違い、ちゅうちゅうよりも地味で、少し知る人ぞ知るだったかな、と思っていたのだけれど、でも、子どもの心をがっちりつかんで離さないのは見事。

よみきかせでも、そりゃもう、何回も読んでいるのだけれど、今日もまあ、隅々読まされて、細かい芸がいっぱいちりばめられていることに改めて感心した次第。

ジオポリスという町の道路管理部で働くトラクターKTが主人公。力の強いKTは、ジオポリス中が麻痺した大雪の中でも、ものともせずに除雪を続けます。おまわりさん、郵便局、電話局、病院、彼の活躍のおかげで町のライフラインは見事復活するのでした。

なにしろ、KTかっこいい!大雪がふりつづき、見開きのページが真っ白になり、街中が雪にうまってしまう中、ページをひらくと、「ただひとり、KTはうごいていました」というわけで、真っ赤な除雪車が、ひとり黙々と雪を掻いている場面は特にお気に入り。ページをひらくのももどかしい様子。

ほんとにまあ、「よろしい、まかせておきなさい」と、みんなの救助要請を嫌な顔一つせずに受け止めるKTは、ひとつの理想像、ヒーローなのですね。

子どもたちは、失敗するちゅうちゅうのような主人公にも惹かれるところがあるのだけれど、こういう、完全無欠型のヒーローもとても好きですね。