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ドラゴン株式会社(21世紀空想科学小説)

 

ある日、エルマ(ぼく)の家に突然宅配便で届いた種。土に植えたら見る間にドラゴンに育った。

 その鳴き声から「キュルル」と名付け、成長したキュルルに乗ってエルマは空を飛ぶ。ドラゴンに騎乗して空中を飛んでの登校は町中を大騒ぎにするが、さらにドラゴンが次々にドラゴンの種をだし増えていく。小学校の子供たちは、みんなドラゴンで空を飛ぶようになった。だが、低く飛びすぎて車と衝突したエルマは意識を失ってしまう。目が覚めたのは2年後。そこはパラダイスのような世界になっていた。ドラゴンの炎発電のおかげで電力が豊富になり、ウロコはコンピュータのチップとして有用。しかも、ドラゴンがゴミを食べてくれるので、ゴミ問題も解決。だが、何かが変。エルマは友人と、ユートピアに隠された秘密をさぐる。人間に利用されて炎を吐き続けたドラゴンは消耗し自ら墓場とでもいう場所に集まって悲しく鳴いていた。人間のためにドラゴンの利用を続けるか、それともやめてドラゴンの幸せを考えるか? エルマに決定がゆだねられ、読者がえらび、それぞれの結末を読める。設定が、全体に甘い。なんとなく読めるし、ドラゴンとついているせいかよく動いているが、息抜きで読むくらい?