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ティナの明日

 

ティナの明日

ティナの明日

 

 

本は厚くないが、内容的に中学生くらいからか。内戦直後のスペイン。ティナの家は貧しい。兄さんは奨学金で高校に行っており、ティナは優秀で宗教コンクールの出場者に選ばれるが、家では、勉強よりも家事をするようにといわれる。魔女と呼ばれていた近所のおばあさんの死を見て感じる恐怖とあわれみ、そのおばあさんを訪ねてきた謎の青年から聞かされる内戦の姿。コンクールで優勝を果たしながら、戻っていくのは出口のないような日常。生理が始まり「大人になったのね」と言う母の言葉も、祝福というよりあきらめのようにも感じられるラスト。希望に満ちてはいないが、一途なティナの明日には、よりよいことが起こるようにと感じるラスト。