児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

ぼくはめいたんてい

 

なぞのかみきれをおえ!―ぼくはめいたんてい

なぞのかみきれをおえ!―ぼくはめいたんてい

 

 

 

ふたつのバレンタインじけん―ぼくはめいたんてい

ふたつのバレンタインじけん―ぼくはめいたんてい

 

 

 

ハロウィンにきえたねこ―ぼくはめいたんてい

ハロウィンにきえたねこ―ぼくはめいたんてい

 

 図書館でも一二を争う人気シリーズに、昨年来新作が加わっている。

主人公は「めいたんてい」であるぼく「ネート」。かれのまわりのすこしへんてこな友人たちから持ち込まれる、じけん、というにはいささかたわいもないような、なぞを毎回解決していく基本のストーリーは不変。

第一シリーズは光吉夏弥、第二シリーズでは神宮輝夫が訳者をつとめ、今回は小宮由。語り口調はシリーズ前作を意識している。シーモントの挿絵は、今回一部カラー版に。おそらくは以前のシリーズも原著はこんな感じだったのでは?口絵に人物紹介、巻末には、クイズや作中レシピが加わって、サービスにこれ努めている。

破られた手紙を復元して、彼への挑戦状でもあった招待状に見事答える「なぞのかみきれをおえ!」

犬のスラッジに贈られたバレンタインカードに添えられたABHの頭文字を解読する「ふたつのバレンタインじけん」

ハロウィンのばんに行方不明になったねこの小さいヘックスを見つけ出す「ハロウィンにきえたねこ」などなど。

謎自体は、まあたわいもなく、時にはおいおいと突っ込みたくなるような結末だったりする。私はどうもミステリーが苦手で、自分で謎を解読するという習慣はあまりないのだが、子どもたちはこれを読みながら謎を解読したりしているのだろうか。確かに、読み返せば、一応、手がかりはすべて提供されている、ようにも見えるが、しかし。英語の頭文字を読み解くとか、明らかに小学生には無理があるのじゃないかと思う筋もある。旧シリーズの後書きでも、そういう英語の言葉遊びみたいなものは訳せないので外しましたというような断りがあったのだけれど、大丈夫か。

ともかくも、このシリーズに共通するのはそこはかとないユーモア。定型化して繰り返すおきまりのキャラクターと、そのおきまりの行動の中にも、ちょっと空とぼけた感じがうまく組み込まれている。ハロウィンの夜やってくる、世にもおそろしい扮装の犬、とか。バレンタインのメッセージとぼくの反応、とか。謎解きとは関係なく、そういう人間模様を楽しむ事も十分可能、なはず。

とても、人気のあるシリーズ。しかし、私は奥行きがあるのかどうか、の自信は持てないでいる。