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ペニー・フロム・ヘブン

 

ペニー・フロム・ヘブン

ペニー・フロム・ヘブン

 

 我が家は母さんと、母さんの両親の4人家族。新聞記者だったすてきなとうさんは、私がちいちゃいころ死んじゃったけど、イタリア系だった父さんの家族は、しょっちゅう集まっていて、私のこともすごくかわいがってくれる。ペニーは12歳の女の子。なぜか父さんの家族とはつきあおうとしない母さんは、最近牛乳配達のマリガンさんとデートをはじめた。あんな冴えない牛乳配達人なんて!ペニーとしては気にいらない。お調子者だが憎めないいとこのフレディや、車の中で暮らしている変わり者のおじさんのドミニク。ペニーの心の、ささやかな喜びや悲しみが伸びやかに描かれ、腕の大けがの経験の中で、父さんが戦争中に、ラジオを持っていただけで敵国イタリアのスパイ容疑で逮捕され、獄中死した真実を知る。イタリア系一族の愛情の強さに包まれ、家族の中でも、自分を見つけていく少女のものがたり。