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あたしって、しあわせ!

 

あたしって、しあわせ!

あたしって、しあわせ!

 
ドゥンネは、お父さんと二人で暮らしている。お母さんは遠くへ行ってしまった。それは死を意味しているが、ドゥンネはいろんなことをしあわせだと感じて、日々楽しく暮らしている。学校に入学し新しい友達ができないでいたとき、エッラという女の子と友達になり、しあわせで楽しいと毎日を感じるようになった。しかし、そのエッラが引越しをすることになり、毎日のしあわせから何かがごっそりなくなって、しあわせであることを感じられなくなってしまうドゥンネだった。
 
大切な人との別れに対して実はドゥンネは敏感なことをエッラとの別れで読み手は知っていく。母親との別れなどによるものかもしれないが、エッラの不在によりドゥンネは凶暴な一面を見せるのだ。
そのドゥンネに対する父親の対応が実に自然で押し付けがましくないのが良い。最後に、休みにエッラに会いにいくドゥンネのしあわせを感じる気持ちが再び取り戻されていく場面にほっとできた。