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川の上で

 

川の上で

川の上で

 

 1930年代アフリカ。フリートリヒはドイツから派遣された宣教師だが、改宗に導けずに自身を失いかけている。そんな時、妻が熱病で死に、娘も同じ病気で重態となった。村人は川を下って町に出て助けてもらえという。必死で舟を漕ぎ出した彼に、川辺の村の人たちは暖かく手をさしのべてくれる。村に泊まるごとに回復していく子ども。子どもに話し掛けてやりなさい、といわれ、貧しかった昔のことを語り出す父。もう少し書き込んで欲しかったと思うが、当時の雰囲気が良く出ている。特に、町に着いたたとたん、お金が無いことに気づき医者に見てもらえるかと不安になる父の姿は、それまで無償で助けてくれた村の人たちの文化と比べちょっとした文明批評にもなっていておもしろい。