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魔使いの弟子

 

魔使いの弟子 (sogen bookland)

魔使いの弟子 (sogen bookland)

 

 ハローウィンにちなみ、魔女ものをここのところとりあげてきましたが、本番の本日は「魔使い」です。

7番目の息子の父を持つ7番目の息子トムは、魔使いの弟子になるため家を出る。母さんには不思議な力があり、トムがすぐれた魔使いになれると信じてくれているが、トム自身はうまくやれるか不安でたまらない。とがった靴を履く女の子アリスのせいで、早々に封じ込められていた魔女マザー・マルキンを逃がしてしまったトムは、自分のありったけの力と知識で魔女にたちむかう。最近よくあるファンタジーものの中で、魔使いとは、魔法は使えず、知識と経験で魔に立ち向かうという設定がおもしろい。孤独な師匠。神秘的な母さん。善と悪の間をゆれるアリス。常識人の兄さんなど、登場人物がしっかり描けているのもいい。アリスを封じようと決心した後で、彼女もまた被害者であることに気付いて、彼女の危険も認めながら向かい合っていこうとする場面が印象的。