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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

ベルリン1919

 今日は、上野の国際子ども図書館でコルドン氏の講演会をきいてきました。とても面白い内容で、あらためて、ベルリン3部作再読しなくちゃ!と思いました。

ベルリン1919

ベルリン1919

 

 戦争に行っていた父さんが片腕を失くして帰ってきた。戦争と皇帝への怒りと、革命への期待を抱いて。貧乏人ばかりが住むアパートで暮らす13歳のヘレは、飢えと寒さの中で、水兵の反乱にはじまる11月革命をまのあたりにすることになる。皇帝は亡命するが、政権争いの混乱の中でドイツは内戦同様の混乱に陥った。仲良くなった水兵や、身近な人々が次々と犠牲になり、革命は不完全なまま崩れていく。裕福な級友との友情の揺れ動き。体調を崩す妹や弟への思い。同じアパートで労咳に苦しむ女の子への心のゆらぎ、ちゃっかりもののルツなど印象的な脇役も魅力的。現代ドイツ史への理解も深まり、一石二鳥! 3部作の第1部だが、次を早く読みたいと思わせる魅力的な作品。