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フェリックスとゼルダ

 

フェリックスとゼルダ

フェリックスとゼルダ

 

 ユダヤ人の両親に孤児院に入れられたフェリックスは、二人がいつか迎えに来てくれるのを待っている。ある日、スープに丸ごとのニンジンが入っているという幸運があった。これは、両親が迎えにくる印に違いない! フェリクスは孤児院を脱出して3年ぶりに両親がいるはずの本屋を目指す。だが、途中襲われた家の生き残りの女の子ゼルダを助けることになる。空想力豊かで、ゼルダへのいろいろなお話をしながら、なんとか周りの恐怖からまもろうとするフェリックス。やっとたどりついた自分の家は、他人が住んでいた。歯医者のバーニーとの出会いのおかげで、なんとかゲットーの中で隠れて生き延びることができるが、その住まいも見つかってしまい、収容所行の列車に乗せられてしまった。ゼルダユダヤ人ではなく、レジスタンスの襲われたナチの家族であることを、形見の写真から気づいたフェリックスは、ゼルダだけでも助けようとするが、ゼルダはフェリックスを追ってきてしまった。そして、最後のチャンス。列車の一角がもろくなっているのに気づき、蹴破ったフェリックスはゼルダとともに、列車から飛び降り脱出を果たす。さまざまな危機の中、両親が生きているという空想を支えに乗り切ろうとするフェリックスと、偶然に結び付いたゼルダの絆に心が動かされる。