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モギ ちいさな焼きもの師

 

モギ―ちいさな焼きもの師

モギ―ちいさな焼きもの師

 

 12世紀後半の朝鮮半島。孤児のモギは、やはり孤児で片足が不自由なトゥルミじいさんと橋の下でくらしている。落ち穂をひろったり、ゴミ捨て場からまだ食べられそうなものを拾ったりという貧しい暮らしだが、じいさんはどろぼうはしてはいけないと教えてくれた。ある日、モギは、焼き物師のミン親方が仕事をしている様子に魅せられる。焼き物を見たさに、仕事場に入り込み、どろぼうとまちがえられるが、それを契機に、ミン親方の下働きを手伝うようになる。おくさんのアジュマはやさしいが、ミン親方は厳しい。妥協しない作品づくりを誇りにしている。ある日、御用焼き物師を選ぶ役人が村を訪れる。ミンの作品は、高く評価されるものの、新しいアイディアを使った他の職人と競り合うことになる。モギはミンの作品を持って王宮に向かう決意をするが、盗賊に襲われ、作品も壊される。絶望の淵の中から、欠片を拾い、モギは王宮へと向かう! ひたむきなモギの姿が魅力。自制し、希望を失わず進むモギは同著者の「魔法の泉への道」の主人公とも共通する。ニューベリー受賞作。