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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

心やさしく

 

心やさしく

心やさしく

 

 不安定な母のもとで、衝動的に、だが自分の気持ちに正直に生きる15歳の少女ローリ。知的で健全な外見とは裏腹に、黒髪の少女を殺すことでしか“やさしさ”を感じられない18歳の少年エリック。エリックの異常性に気づき、その正体を暴こうとする刑事プロクター。義父による虐待への反抗にみせかけ、巧妙に両親殺しを果たしたエリックの釈放の日が近づくにつれ、愛情を与えようとするローリと、再逮捕を画策するプロクターの思いが、それぞれにエリックを動かしていく。 現代的テーマだが、エリックが殺人に快楽を覚えるようになる原因や過程の描写が弱い気がする。ローリも一種のマリア的女の子で、こんな子いるかな? という気も。一番おもしろいのはプロクターか。