いよいよ創也のつくりだしたゲーム「怪人は夢に舞う」が完成し、栗井栄太一行にテストプレイしてもらう事になる。創也はゲームマスターとしてゲームの進行管理をするので、栗井栄太チームには内人が一人で立ち向かう。しかし、ゲームの完成を阻止しようとする「プランナ」集団も暗躍し、内人らは命をも狙われる。
結果、ゲームでは内人は負けるが、ゲームの目的である「勇者の資格」は認められる。一方、ゲームそのものは栗井栄太らに酷評され、創也のプライドはずたずたになる。「プランナ」の目的や背景も徐々に明らかになる中、創也と内人はふたたび、究極のゲームをつくるという夢に向かって歩き出す。
本巻に至り、ようやく物語は動き始めた様子。
いかにも大げさな前振りであった究極のゲームが、所詮「コップの中の嵐」だと分かってしまう。そう、どうも中学生の話なんだが、ちっとも中学生の話らしくなく、でもやっぱり中学生の話なのだ、という居心地の悪さがずっとあったのだけれど、やっぱり中学生だった、という、ある意味安定した落としどころに落ち着いたように思う。
夢の中の怪人なのか、自分もまた夢の中なのか、現実とは、夢とは、という胡蝶の夢みたいなモチーフが何回か出てくる。今読んでいる物語は、内人の夢なのか、現実なのか、ゲームの中は、どこまでがゲームで、どこまでがほんとうなのか、そういう実存的な問いがうまく練り込まれてきた。この何巻かの中では面白い一冊だと思う。
都会のトム&ソーヤ(8)≪怪人は夢に舞う <実践編>≫ (YA! ENTERTAINMENT)
- 作者: はやみねかおる,にしけいこ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/09/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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