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ぬすまれた宝物

 

ぬすまれた宝物 (児童図書館・文学の部屋)

ぬすまれた宝物 (児童図書館・文学の部屋)

 

 がちょうのガーウェインは、王室の宝物殿の見張り役主任でした。大好きなクマのバジル王のため、ガーウェインは、懸命に仕事をしています。鍵を持っているのは王とガーウェインの二人だけ。なのに、宝物殿からルビーが、金貨が消えていきます。なぜそうなったかガーウェインにはどうしてもわかりません。けれども彼が疑われ、裁判で有罪になってしまいます。実は真犯人はネズミのデレックでした。隅の小さな穴から、自分のみすぼらしい家を飾り付けしたくて、ついつい宝石などを持ち出してしまったのです。思いもかけず大事になってしまい、デレックは激しく後悔します。友人だと思っていたみんなに信じてもらえなかったショックでガーウェインは激しく落ち込み、裁判所から飛んで逃げ出しました。デレックは、その後も盗み続けることで、ガーウェインの無罪を証明し、その後、すべてを返却ました。王さまや友人たちは激しく後悔ます。デレックはガーウェインを懸命に見つけて謝罪し、ガーウェインは、とても傷つきましたが、それでも一人はさびしいことを痛感し、国に帰りみんなを許すことに決めます。デレックはみんなに謝ろうとしますが、ガーウェインは必要ないといって許します。出来心の罪、冤罪、信頼といった大きなテーマをわかりやすく素直に描く才能はさすがスタイグです。