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ダルタニャン物語=第1巻(第1部三銃士)

 

ダルタニャン物語〈第1巻〉友を選ばば三銃士 (fukkan.com)

ダルタニャン物語〈第1巻〉友を選ばば三銃士 (fukkan.com)

 

 1968年の訳だが、読みやすく、造本もソフト・カバーで軽く手にとりやすい。ご存知「三銃士」の完訳シリーズ。主人公ダルタニャンは、三銃士ではありません。(親友が三銃士!)念のため。入隊初日に、向こうっ気の強いダルタニャンは、銃士隊のなかでも有名な3人に次々決闘を挑むはめになり、その結果友情を結ぶという冒頭エピソードは、今の少年ジャンプで描いて見せてもウケると思いませんか?

実は、『モンテクススト伯』に比べると、単調な活劇と感じていた三銃士だったが、発表時の形態(新聞連載)に合わせて、一気読みではなく、チビチビ読みをしてみようと思ったところ、これがバッチリあった。もうちょい進みたくもなるが、抑えてじわじわ朝読時間などに読むといいかも。このテンポを使った場合は、シリーズ全巻行けると思いました。

なお、これを再読するきっかけになったのが、

 

黒い悪魔

黒い悪魔

 

 

 

褐色の文豪 (文春文庫)

褐色の文豪 (文春文庫)

 

 の2作品。『褐色の文豪』とは、デュマの事。そして、『黒い悪魔』とは、デュマのお父さん。『黒い悪魔』のラスト、軍人として、輝かしい業績を残したものの落ちぶれた父が、息子にプライドをもたせるために、豪放磊落に武勇伝を語り、目を輝かした息子がのちの三銃士の着想を得る、という描写は、胸に迫るものがありました。(三部作でもちろん、ラストは『象牙色の賢者』小デュマです)。合わせて読んでみてはいかがでしょう?