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天国までもう一歩

 

天国までもう一歩

天国までもう一歩

 

 ヨンジュは豊かな暮らしを求める両親とともに、韓国からアメリカへと移住した。天国まであと一歩の夢の国。しかし、貧困からぬけだせず、父はしだいに粗暴に酒びたりになってゆく。新生活に順応するヨンジュと違って、過去にとらわれる両親とのギャップ。しだいに父に似て暴力的になる弟。男たちはふがいないが、母は朝から晩まで働き、ヨンジュも学年一の成績を勝ち取る。祖母の葬儀にいけなかった負い目で、ついにつぶれてしまい母を暴力で殺しかけ、韓国に帰ることになる父。成長したヨンジュが幼い日の海の思い出をたどり、それが父とのできごとであったことに気づくラストに美しい余韻が残る。著者の自伝的な作品。冒頭ハルモニなど韓国語が注なしで呼びかけででてくるのがちょっと入りずらい。