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第八森の子どもたち

 

第八森の子どもたち (世界傑作童話シリーズ)

第八森の子どもたち (世界傑作童話シリーズ)

 

 ドイツ軍に占領されて街を追われた11歳の女の子ノーチェは、父とともに近くの森の中の農家に居候して暮らすことになった。他にも追い出されて暮す一家やおばあさんをかかえ、困った人には常に食べものを分け、良心的な値段で作物の販売を行う。一家は障害のある7歳の娘をかかえ、森の中のユダヤ人家族や脱走ドイツ兵にも手を差し伸べていた。偶然ユダヤ一家の出産を手伝い、赤ん坊のサラのめんどうをみることになったノーチェ。12歳の誕生日。農家に来るドイツの少年兵への同情。オランダは解放されるが、それは農場やサラとの別れも意味していた。おおらかな心を持つ農家の一家と少女の成長が、被害者体験というより広い視点で描かれていてとてもいい。ただ、歴史背景の理解が難しいかも。