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ケルトとローマの息子

 

ケルトの白馬/ケルトとローマの息子―ケルト歴史ファンタジー (ちくま文庫)

ケルトの白馬/ケルトとローマの息子―ケルト歴史ファンタジー (ちくま文庫)

 

 難破したローマ船の生き残りの赤ん坊は、子をなくしたばかりのブリタニアの部族の子ベリックとして育てられた。敵対するローマ人の子として疎まれるが、懸命に戦士としての地位と友をかちとる。しかし、不作と疫病の年に、神々の怒りの元凶として追放されてしまった。ローマ人の町をめざすが、最初に出会った男にだまされ奴隷として売られる。残酷な主人に耐えかねて逃亡した後、今度は強盗の一味と誤解されガレー船のこぎ手の刑に。そこで見つけた親友の死に絶望し、仮死状態になり海に捨てられる。苦難の後、そこで干拓を行なうユスティニウスに救われ、ついに居場所を得る。 サトクルフらしいノンストップの怒涛のドラマ。訳もよい。代償なしに平安を手に入れられない厳しい世界を、誇りをもって書き抜く力はさすが。