児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

イクバルと仲間たち 児童労働にたちむかった人々

 

イクバルと仲間たち―児童労働にたちむかった人々 (ノンフィクション・Books)

イクバルと仲間たち―児童労働にたちむかった人々 (ノンフィクション・Books)

 

 わずか4歳か5歳で仕事を始める子どもたち。親の借金による債務労働として、わずかな手間賃と過酷な労働環境。女の子はさらに性的虐待まで受けるという現代の奴隷制度。パキスタンで、じゅうたん織の債務労働をしていた境遇から抜け出し、児童労働を禁止するために活動したイクバルと、イクバルと出会うことで自分たちが安いものを求めることで児童労働につながることをしったアメリカの子どもたちの児童労働禁止の活動。かつては児童労働が当たり前だったことなど、バランスよくまとめてある。イクバルは銃殺される(犯人には不明点も残る)が、少しずつ児童労働の禁止にすすんでいく過程がよい。注意しないと加害者になることを肝に銘じたい。