児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

二人の星

 

ふたりの星 (世界の子どもライブラリー)

ふたりの星 (世界の子どもライブラリー)

 

 デンマークナチスの支配下にあった。国王は、戦艦を敵の手に渡さないために全て沈めて降伏。だが、ひそかなレジスタンスが続いていた。アンマリーの姉は事故で死んだが、無邪気な妹キアステンに元気づけられている。姉リーサの婚約者ピーターはレジスタンスの情報を伝えてくれていた。ナチスは突然、デンマーク中のユダヤ人を“移植”すると発表。アンマリーの親友エレンはユダヤ人だったが、一家は、エレンをかくまい、踏み込んできたナチスにリーサだといってごまかす。母とエレン、アンマリー、キアステンは、漁師の母の叔父の家へ向かう。叔父は、自由な隣国スウェーデンユダヤ人を逃がすために動いており、ピーターもそれを助けていた。だが、出発直前、叔父は忘れ物をしていた。母は足をくじき動けない。それがなにかもしらないまま、アンマリーは船に向かって走る。途中でナチスの尋問をうけるが、荷物はただの布で、無邪気な女の子を装い、無事通過。だが、その布は、捜査犬の臭覚を麻痺させるためのコカインを仕込んだ重要な布だったのだ。エレンたちは無事にのがれるが、ピーターはその後つかまり、処刑されてしまう。そして、実は姉もレジスタンス活動の中でナチの車に引き殺されたという真実を知る。タイトルは、エレンがしていたダビデの星のペンダントのこと。隣人であったユダヤ人を逃がし、留守の家を守ったというデンマーク人は尊敬すべき国民ですね。