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りっぱな兵士になりたかった男の話

 

りっぱな兵士になりたかった男の話

りっぱな兵士になりたかった男の話

 

 カスパールは、立派な兵士になるための9ケ状を守り、立派な兵士としての任務を全うしたいと願っていた。彼に与えられた任務は、山頂の古い風車小屋を監視すること。疑問を持たずに、懸命に務める彼のもとに、おじいさんが差し入れを持ってくる。最初は疑うが、徐々に、おじいさんとその牝牛、そしてねずみと仲良くなっていく。町は戦場となるが、彼は命令通り持ち場を離れない。占拠され、新しい町となり、おじいさんが、そして牝牛とねずみが死んだ10年後に山を下る。少しずつ変わっていくカスパールの頑固さが、なぜか微笑ましい。観念的なようで、なんとなく魅力がある作品。