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二つの旅の終わりに

 

二つの旅の終わりに

二つの旅の終わりに

 

 第2次世界大戦で戦場となったオランダで負傷したイギリス兵を助けようとした少女ヘールトラウ。結局亡くなったその兵を祖父とする同名のジェイコブ。アンネ・フランクを愛読し、ヘールトラウに会いにオランダに来たジェイコブは、初日から少年を少女と間違えたり、スリに会ったりとさんざんなめにあう。おまけに重病のヘールトウラは安楽死を迎えようとしていた! 彼女の手記から、すこしづづ見えてくる失敗したアルネムの戦いの全貌。戦争によって壊れる心、結ばれる愛。ヘールトラウの孫ダーンの攻撃的な生き方。両親とのトラブルや異性へのあこがれ、アンネの家を訪問して感じる一種の失望。安楽死一つをとっても安易な結論を出そうとしない抑制ある書きかたがよい。性についてもストレートに書いてあるが、力を抜いて自然に書いてあるのでサラリと読める。