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アーサー王ここに眠る

 

アーサー王ここに眠る (創元ブックランド)

アーサー王ここに眠る (創元ブックランド)

 

 2008年カーネギー賞受賞作。孤児グウィナは、ご主人の農場に攻め入ってきたアーサー王の吟遊詩人にして魔術師ミルディンに拾われる。泳ぎ上手を見込まれ、湖の霊に化けて王に剣を渡し、以降少年に化けてミルディンの従者となった。ミルディンは、アーサーを物語りによって、勇者につくり上げるが、現実のアーサーは粗暴な王であった。年頃になり、少女に戻らざるをえなくなったグウィナは、少女と少年の二つの世界を体験する。現実と物語を二重写にしていておもしろいが、ミルディンがなぜアーサーにあれほど執着するのか説得力が弱いのが残念。