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永遠に生きるために

 

永遠に生きるために

永遠に生きるために

 

これがデビュー作という23歳の作者の著作。サムは11歳、白血病で闘病中だ。再発を繰り返し、長くてもあと1年と告知されている。自分の望みや、死への思いをノートに綴ることを決める。同じ闘病仲間で、勝ち気なフェリックスと一緒にやりたいことのチャレンジをしたり、死んだらどうなるかと言い合ったりする。サムが長くないことを認められない父、サムは学校にいかなくていいと不満な妹のエラ。なんとかサムを守ろうとして父と対立する母。フェリックスの死を通じ、自分の死をより意識するようになったサムの周りで、エラも父もサムの死という現実を理解していく。サムの望み(飛行船に乗りたい)をかなえようと奔走する父。そして、家族が一緒になった穏やかな時間が訪れる。闘病というテーマを本人の手記という形式でリアルに描いていて説得力がある。