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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

トルコのセーラおばあさん、メッカへ行く(たくさんのふしぎ2007.10)

新藤悦子文 牡丹靖佳絵 福音館書店

個人的に親しくなったゼーラおばあさんとの交流を通じて、日本人にはなじみの薄いイスラム教徒の敬虔な信者の穏やかな生活として紹介。メッカ巡礼をしてきたおばあさんに、その時の気持ちもきく。悪魔に石を投げる儀式など、いかにも迷信めいて見えるが、同時に人間の心の中の悪魔に石を投げる、ときくと、象徴的な行為だと感じる。素朴な信仰の強さは、尊敬すべきもの。

ちなみに、最近少しイスラム教のことを理解してきたのだが、本来、イスラム教は、宗教の専門職を置かず、在家のふつうの生活を大切にする、穏やかで寛容な宗教。だからこそ世界宗教となったのだとわかりました。イスラムを名乗って暴力行為を正当化してる勢力を見て、まじめな信徒の方に偏見を持たないようにしたいと思います