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マザーランドの月

 

マザーランドの月 (SUPER!YA)

マザーランドの月 (SUPER!YA)

 

 2013年カーネギー賞で多数の受賞歴を持つ著者の作品。しかし、ちょっとひっかかる物語。

スタンディシュはじいちゃんと暮らしている。難読症で、学校では担任やクラスのメンバーからもばかにされている。だが、ヘクターが来て変わった。マザーランドのエリートであったのに、スタンデエィッシュの隣に越してきたヘクターの家族。独裁者に支配され、体制からはずれた人は“消える”。スタンディッシュの両親も消えてしまった。サディスティックな教師に屈しないヘクター。彼に励まされるようにスタンディッシュも変わる。そして月へのロケットに乗っているはずの月の男が現れる。マザーランドの栄光を示すための月面着陸プロジェクト。だが、それは特殊撮影による茶番だった。ヘクター一家も拉致され、スタンディッシュは、一人でこの茶番の暴露をもくろむ。時系列をランダムに組み合わせ、架空の歴史を描き、オシャレな感じだが、さいご、身を犠牲にして目的を遂げるのは都合よすぎるヒロイズムを感じる。なぜ、カーネギーをとれたのかわからない。