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魔法ファンタジーの世界(岩波新書1020)

ファンタジー大流行というべき中で、ファンタジーの姿をもう一度整理してみせてくれる作品。ファンタジー世界へ、子どもが自然に入っていくための仕掛け、二元論的世界が多いようにみえるが、悪と善、光と闇の戦いとは本当はなんなのかなど興味深い。とりわけトールキンの男ばかりでストイックな指輪物語と、ルイスの男女同数が参加して、魔女に翻弄されるナルニアの違いをそれそれが親しんだ伝説にまでさかのぼっていくところはとてもおもしろい。“なんでもあり”のナルニアの魅力は、なんともいえないが、同時に魔法とは自分の中の本当の望みに気づき、それを実現するために進む力である、という事はその通りと、うなずきたい。 

魔法ファンタジーの世界 (岩波新書)

魔法ファンタジーの世界 (岩波新書)