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ボタンちゃん(2016 低学年 課題図書)

 

ボタンちゃん (PHPわたしのえほん)

ボタンちゃん (PHPわたしのえほん)

 

 子どもではなく親の視点。主人公はボタンのボタンちゃん。アンナちゃんのブラウスの一番上のボタンです。ある日、とれてしまってころがっていくと、アンナちゃんが赤ちゃんの時に遊んだガラガラやよだれかけ、ホッキョクグマのぬいぐるみにであう。みんなアンナちゃんに忘れられた、としょんぼりしているが、みんなは、ボタンちゃんはアンナちゃんが成長するのを助けたのだと慰める。ボタンちゃんは、拾ってもらって、またブラウスにつけてもらい、ガラガラたちも、見つけてもらって「想い出の箱」にしまわれる。そしてボタンちゃんもこの箱に行く日が来る。箱の中でガラガラが鳴ってもアンナちゃんには聞こえないというラストは、大人のノスタルジーで、読み手と主人公の距離を感じる。低学年は、主人公と一体化して読むが、主人公は最後には忘れられるボタンちゃん? それとも、いろんなものを忘れて成長するアンナちゃん? これは、どちらでもなくお母さんの視点であるように感じる。感想文を書くなら、「私もお母さんに想い出の箱をみせてもらいました」路線で、親から小さかったころのことを聞いいて、からめて書けば、それなりにまとめることはできそう。低学年より中学年が良かったかも。