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児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

 ここで土になる(2016 高学年 課題図書)

 

ここで土になる

ここで土になる

 

 熊本県五木村に大イチョウがある。かつて安心和尚というおぼうさんが、この根元に穴をほって修行し、鐘を鳴らし続けたが、1週間後には鐘の音が途絶えたという由来がある。この大イチョウのある田口地区には、ダムが建設されることになり、住民はみな移転した。だが、尾方茂さんチユキさんの夫婦だけが残った。大イチョウも移転することになり根や枝が切られて準備がはじまるが、けっきょくダムの計画はなくなる。しかし、大イチョウはすっかり元気をなくしてしまった。茂さんは、そのイチョウの世話をする。たった二人だけになった地に住み続ける二人に、著者は、安心和尚の姿を重ねる。生まれた場所ですっと暮らし、そこの土になる生き方を見る。 白黒写真を中心に構成されているので、文字を読むのが苦手な子にはよいかもしれない。ただ、ダム建設と、その中止の経緯が巻末の開設にも一切ない(何年に計画、何年に移転、何年に中止位の事実は書いたほうが、尾方さん夫婦がいくつの時のできごとかわかる)また、安心和尚は即身成仏になったのだが、それが小学校高学年くらいだと、わかることわからない子がいるかも。情感漂う雰囲気なので、「立派」「すごい」「かわいそう」みたいに情緒的な感想文で、アリバイ的に書くには便利かもしれないが、本気で取り組むには感性が要求されそうで、読むのは楽だけど~の本です。